一人情シスのM365点検は、「認証 → 管理者 → 外部との共有 → 退職者 → 端末 → メール → データ」の順に、16項目を見ていくと、抜けを減らせます。 この記事は、公式資料で確認した内容にもとづく、チェックリストです。各項目に、確認する場所と、詳しい解説記事へのリンクを付けました。2026年11月時点の内容です。
この記事は、個人による非公式の解説です。仕様やプランは変わる可能性があるため、設定を変える前に、各記事末尾の「参考」の公式資料を確認してください。点検は、無料のM365・社内IT 自己点検(16問・約3分)でも、できます。
1. 認証(サインインの守り)
| # | 点検項目 | 確認する場所・ポイント | 詳しい解説 |
|---|---|---|---|
| 1 | 全員に MFA を必須にしているか | Entra ID Free は「セキュリティの既定値群」、P1 以上は条件付きアクセスで必須にできる。両方は同時に使えない | (この記事の末尾に補足) |
| 2 | SMS・音声だけに頼る人がいないか | 2027年2月1日以降、使える方法が SMS・音声だけの人は、パスキーの登録が必須になる(管理者は2027年7月1日) | SMS認証の終了 |
| 3 | 管理者が、フィッシングに強い方式を使っているか | パスキー(FIDO2)、Windows Hello、証明書ベースが対象。Authenticator の通知やコード、SMS は含まれない | SMS認証の終了 |
| 4 | レガシー認証をブロックしているか | サインインログで洗い出し、条件付きアクセスを「レポート専用」で確認してから「オン」にする | レガシー認証を止める |
2. 管理者
| # | 点検項目 | 確認する場所・ポイント | 詳しい解説 |
|---|---|---|---|
| 5 | グローバル管理者が5人未満か | Entra 管理センターの「ロールと管理者」。権限の小さいロールに分ける | 管理者の人数 |
| 6 | 緊急用アカウントがあるか | 2つ以上、クラウド専用、パスキー(FIDO2)、条件付きアクセスから除外、90日ごとに確認 | 緊急用アカウント |
| 7 | ユーザーによる外部アプリへの同意を制限しているか | 既定は、管理者の同意が不要な権限なら、利用者が同意できる。Microsoft は、検証済み発行元の低リスクな権限だけに制限し、管理者の同意ワークフローを有効にするよう勧めている | 下の補足を参照 |
3. 外部との共有
| # | 点検項目 | 確認する場所・ポイント | 詳しい解説 |
|---|---|---|---|
| 8 | 外部共有の範囲を決めているか | SharePoint の組織の既定は「リンクを知っていれば誰でも」。Microsoft は非推奨で、使うなら期限を付けて閲覧のみにする | ゲストの棚卸し(共有の項を参照) |
| 9 | ゲストを定期的に棚卸ししているか | 非アクティブなゲストの確認は、既定90日。自動の整理には ID Governance などのライセンスが要る | ゲストの棚卸し |
4. 退職者
| # | 点検項目 | 確認する場所・ポイント | 詳しい解説 |
|---|---|---|---|
| 10 | 退職日の手順があるか | パスワードのリセットと全セッションのサインアウト → サインインのブロック(最大24時間)。メールの引き継ぎが終わるまで、アカウントを削除しない | 退職者のアカウント対応 |
5. 端末
| # | 点検項目 | 確認する場所・ポイント | 詳しい解説 |
|---|---|---|---|
| 11 | 会社のPCを暗号化しているか | Intune の「エンドポイントセキュリティ → ディスク暗号化」で BitLocker を配れる。回復キーの保管先も確認する。ローカル管理者のパスワードは、Windows LAPS で個別に管理できる | 下の補足を参照 |
6. メール
| # | 点検項目 | 確認する場所・ポイント | 詳しい解説 |
|---|---|---|---|
| 12 | 社外への自動転送を管理しているか | 既定の「自動(システム制御)」は、組織で挙動が違う。送信スパムフィルターで「オフ」を明示する | 自動転送を止める |
| 13 | SPF・DKIM・DMARC を設定しているか | 設定は、SPF → DKIM(CNAME 2本)→ DMARC の順。DMARC は、DNS で設定する | 下の補足を参照 |
| 14 | 添付ファイル・リンクの検査と、報告の窓口があるか | Safe Links・Safe Attachments は、Defender for Office 365 の機能(プランによる)。Outlook の「報告」ボタンで、不審メールを集められる | 下の補足を参照 |
7. データ
| # | 点検項目 | 確認する場所・ポイント | 詳しい解説 |
|---|---|---|---|
| 15 | 監査ログを、調べられる状態か | 既定で有効、標準は180日。Exchange Online PowerShell で有効かを確認する | 監査ログの保持期間 |
| 16 | 削除したデータを戻せる期間を知っているか | SharePoint・OneDrive は93日、メールは既定14日(最大30日)。別途バックアップを検討する | 削除データの復元期間 |
補足(解説記事が無い項目)
1. 全員の MFA:Entra ID Free の組織は、セキュリティの既定値群で、全員に MFA の登録を求め、レガシー認証もブロックできます。P1 以上の組織は、条件付きアクセスで細かく設定します。条件付きアクセスに切り替えるときは、先に、セキュリティの既定値群をオフにする必要があります。
7. ユーザーの同意:悪意のあるアプリに権限を与えると、メールやファイルを取られる手口があります。Microsoft は、検証済み発行元のアプリだけに限る設定を勧めています。あわせて、管理者の同意ワークフローを有効にすると、利用者が管理者に承認を依頼できます。
11. 端末:BitLocker の回復キーが、Entra ID に保管されているかを確認してください。Windows LAPS は、端末ごとに違うローカル管理者のパスワードを、自動で変更して保管します。Entra 登録のみの端末は、LAPS に対応していません。
13. メール認証:DKIM は、独自ドメインごとに、2本の CNAME レコードを DNS に登録して、有効にします。DMARC は、管理画面ではなく、DNS で設定します。Microsoft の例では、p=none、p=quarantine、p=reject が示されていて、段階的に厳しくするのが、現実的です。
14. メールの保護:Safe Links と Safe Attachments は、Exchange Online Protection の標準ではなく、Defender for Office 365 の機能です。含まれるプランは、契約によって違います。疑似フィッシングの訓練(攻撃シミュレーション)は、Defender for Office 365 の Plan 2 または E5 が必要です。
直す順番の提案
すべてを一度にやる必要はありません。次の順番が、小さな会社には、取り組みやすいと考えます(これは公式資料の記載ではなく、この記事の提案です)。
- まず(1〜2週間):項目1・2・3・6。サインインの守りと、締め出しの備え。SMS・音声の終了は、期日が決まっているため、早めに人数を調べておく
- 次に:項目5・10・12。管理者の整理、退職日の手順、自動転送。事故の元になりやすい部分
- そのあと:項目4・8・9。影響の確認が必要な、レガシー認証のブロックと、共有の整理
- 余裕があれば:項目11・13・14・15・16。端末、メール認証、監査、復元
設定を変える前には、必ず、影響範囲、業務が止まるか、戻し方を確認してください。各解説記事に、表でまとめています。クライアントなど、他社のテナントで作業する場合は、必ず相手の承認を取ってから行ってください。
まとめ
16項目のうち、いくつ「はい」と言えるかを、まず数えてください。1つも確認できていない項目は、その分野の解説記事から、手を付けるのが近道です。
点検の結果は、点数と、優先して直す3点で、見られます。M365・社内IT 自己点検は、全40問から毎回16問を出題する、無料のツールです(入力は送信されません)。
参考
2026年11月時点で確認した公式資料です。各項目の詳細は、各解説記事の「参考」にもあります。
- Configure Security Defaults for Microsoft Entra ID:https://learn.microsoft.com/en-us/entra/fundamentals/security-defaults
- Configure how users consent to applications:https://learn.microsoft.com/en-us/entra/identity/enterprise-apps/configure-user-consent
- Change the sharing settings for a site (SharePoint):https://learn.microsoft.com/en-us/sharepoint/change-external-sharing-site
- Encrypt Windows devices with BitLocker using Intune:https://learn.microsoft.com/en-us/intune/device-configuration/endpoint-security/encrypt-bitlocker-windows
- Use Windows LAPS with Microsoft Entra ID:https://learn.microsoft.com/en-us/entra/identity/devices/howto-manage-local-admin-passwords
- Set up DMARC to validate email in Microsoft 365:https://learn.microsoft.com/en-us/defender-office-365/email-authentication-dmarc-configure
- How to use DKIM for email in your custom domain:https://learn.microsoft.com/en-us/defender-office-365/email-authentication-dkim-configure
- Microsoft Defender for Office 365 service description:https://learn.microsoft.com/en-us/office365/servicedescriptions/office-365-advanced-threat-protection-service-description