ゲストユーザー(外部ユーザー)の棚卸しは、「非アクティブなゲストの一覧を出す → 90日などの基準で対象を決める → 無効化して、そのあと削除する」の順で進めます。 Microsoft Entra には、これを自動で行うアクセスレビューがあります。ただし、公式資料は、この機能に Microsoft Entra ID Governance または Entra Suite のライセンスが必要と説明しています。2026年11月時点の公式資料にもとづいて、手順と注意点を整理します。
この記事は、個人による非公式の解説です。仕様やライセンスは変わる可能性があるため、作業の前に、末尾の「参考」の公式資料を確認してください。
なぜ、ゲストが残り続けるのか
取引先とのやり取りで、Teams や SharePoint、メールを通じてゲストが作られます。共同作業が終わっても、ゲストのアカウントは自動では消えません。公式資料も、「共同作業が終わり、そのユーザーがテナントにアクセスしなくなると、ゲストのアカウントが使われなくなる(stale になる)可能性がある」と説明しています。
使われなくなったゲストは、次のようなリスクを残します。
- 取引先側のアカウントが乗っ取られたとき、自社の共有データに入られる可能性がある
- 誰が、何のために招待したのかが、わからなくなる
- 共有したままのファイルに、アクセスできる人が残る
手順1:非アクティブなゲストを調べる
公式資料は、「非アクティブなゲスト」のレポートで、大量のゲストをまとめて確認する方法を案内しています。
- Entra 管理センターを開く
- 「ID ガバナンス → ダッシュボード」を開く
- 「Guest access governance」のカードで「非アクティブなゲストを表示」を選ぶ
レポートは、既定で90日間の非アクティブを基準にします。この日数は、組織に合わせて変更できます。非アクティブの日数は、サインインしたことがあるゲストは「最終サインイン日」から、一度もサインインしていないゲストは「作成日」から数えられます。一覧は、ダウンロードもできます。
ライセンスの条件があるため、このレポートが使えない場合があります。その場合は、Entra 管理センターの「ユーザー」一覧で、ゲストに絞り込み、最終サインインの情報を、手作業で確認する方法があります。最終サインイン情報の取得には、プランによる条件があるため、使える範囲を公式資料で確認してください。
手順2:基準と、整理のやり方を決める
公式資料は、次の3つのパターンを案内しています。
| パターン | 内容 |
|---|---|
| レポートで監視する | 非アクティブなゲストを、定期的に確認する |
| 本人に確認する(複数段階のレビュー) | ゲスト本人に「まだアクセスが必要か」を答えてもらい、2段階目の担当者が最終判断する。拒否されたゲストは、無効化され、あとで削除される |
| 非アクティブなゲストを自動で削除する | 管理者が「何日間サインインしなければ非アクティブか」を決める。その期間にサインインしないゲストは、無効化され、あとで削除される |
自動で整理するアクセスレビューは、「Entra ID → ID ガバナンス → アクセスレビュー」で作ります。公式資料の設定例は、対象を「ゲストユーザーのみ」、「テナント全体で非アクティブなユーザーのみ」にチェックを入れて、日数を指定する、という形です。完了時の設定では、結果を自動で適用し、拒否されたゲストは「30日間サインインをブロックしたあと、テナントから削除」とします。
作成から日が浅いゲストは、対象になりません。 たとえば、非アクティブの基準を90日にした場合、招待から90日に満たないゲストは、レビューの対象外です。これは、ゲストが、一度もサインインしないうちに削除されることを防ぐためです。
設定を変える前に:影響範囲・業務が止まるか・戻し方
| 操作 | 影響範囲 | 業務が止まるか | 戻し方 |
|---|---|---|---|
| 非アクティブなゲストのレポートを見る | なし(見るだけ) | 止まりません | 不要 |
| アクセスレビューを作る(結果を自動で適用しない) | なし(結果を確認するだけ) | 止まりません | レビューを削除する |
| 結果を自動で適用する | 非アクティブと判定されたゲスト | そのゲストが関わる共同作業(共有ファイル、Teams のチームなど)に入れなくなります | ブロック中(30日間)なら、ブロックを解除する。削除後は、30日以内なら復元できる。それを過ぎると、再度の招待が必要 |
自動で適用する前に、まず、結果を確認するだけの設定で、対象の一覧を見てください。「あまり使われないが、年に一度の決算期だけ必要」といった取引先が、対象に入っていないかを確認します。非アクティブの基準は、業務の周期に合わせてください。 クライアントなど、他社のテナントで作業する場合は、必ず相手の承認を取り、対象の取引先を、相手の責任者と確認してから行ってください。
運用のコツ
- 基準を決めたら、定期的に(四半期に1回など)見直す
- ゲストを招待できる人を、決めておく(「誰でも招待できる」状態にしない)
- 取引先との契約が終わったときに、ゲストを整理する手順を、社内で決めておく
- 外部との共有そのものの範囲も、あわせて見直す(SharePoint の外部共有は、組織の既定が「リンクを知っていれば誰でも」で、Microsoft は非推奨としています)
まとめ
ゲストは、放置すると増え続けます。まず、ゲストが何人いて、そのうち90日以上サインインしていない人が何人いるかを確認してください。 数がわかれば、手作業で整理するか、アクセスレビューで自動化するかを、選べます。
自社の設定の全体を確認したい場合は、M365・社内IT 自己点検(16問・約3分・無料)も使えます。「外部ユーザー(ゲスト)の一覧を定期的に見直していますか」という設問が含まれています。
参考
2026年11月時点で確認した公式資料です。
- Monitor and clean up stale guest accounts:https://learn.microsoft.com/en-us/entra/identity/users/clean-up-stale-guest-accounts
- Use Microsoft Entra ID Governance to review and remove external users who no longer have resource access:https://learn.microsoft.com/en-us/entra/id-governance/access-reviews-external-users
- How to manage inactive user accounts:https://learn.microsoft.com/en-us/entra/identity/monitoring-health/howto-manage-inactive-user-accounts
- Change the sharing settings for a site (SharePoint):https://learn.microsoft.com/en-us/sharepoint/change-external-sharing-site